「ICTがもたらす自由」

会長 工藤 滋

ICT(情報通信技術)は、視覚障害者に数多くの自由をもたらしてきました。1984年に開発されたAOK・点字入力・音声出力ワープロは、視覚障害者に自力で文字を書く自由を与えました。1993年に日本において商業利用が開始されたインターネットは、個人間の手紙のやりとりに加えて、新聞記事をはじめとする社会にあふれる無数の情報にアクセスする自由をもたらしました。そして2020年、新型コロナ禍で爆発的に普及したweb会議システムは、移動に伴う多くの人々の時間的・経済的負担、そして視覚障害者の心理的負担をも解消して、私たちに地域を問わない社会参加の自由を与えました。これらはいずれも革命的な出来事であったと言えます。

さて、このICTは、今年度の理教連活動にどのような影響を及ぼしてきたでしょうか。

まず会議についてです。理事会、三役会議の多くは、都内近郊の役員のみが集まり、遠方在住者がオンラインで出席するハイブリッド形式で行われました。東京で新型コロナがまん延している時期でも会議を開くことができたり、打合せが短時間であっても、関係する役員を集めて意見を聞けたり、実務的にはかなり有効に機能したと思います。ただ、対面式の会議であれば、始まる前や休み時間、昼食時に、数名で他愛のない話をしたり、ちょっとした情報交換ができたり、なつかしい方に挨拶に赴けたりしたのが、オンラインではそれが思うようにはできず、親睦を深めるコミュニケーションの難しさを感じました。

報告会や研修会は、オンラインで開催いたしました。総会を学校代議員制から支部代議員制に移行した2019年度以降、総会で決定した重要事項の報告と会員からの意見聴取を目的に、毎年総会報告会を開催しています。対面式で行った2019年度は、中央研修会に先立って行いましたので、参加者の多くは全日盲研で京都に来られている方々でした。それが昨年度と今年度は新型コロナの影響でオンライン開催となりましたので、全国の先生方と直接お会いすることはできませんでしたが、その代わりに会員であればどなたでもご参加いただくことができました。

研修会としては、10月と11月に理療教育啓発推進委員会主催研修会、12月にオンライン・カンファレンスを題材としたICT活用に関する研修会、1月に理教連の将来について考える中央研修会を開きました。いずれも理療教育の将来に向けて必要な情報をご提供できたのではないかと思っております。ただ、オンラインでは全体会の雰囲気がつかみにくくて発言を躊躇してしまったり、ミュート解除のタイミングを逸して意見を言えなかったりということがありますので、円滑なコミュニケーションには操作スキルのアップと慣れが必要だと感じました。

こうしてみますと、ICTは理教連会員に、場所を問わず多様な情報を入手できる自由を与えたと言えるのではないでしょうか。ただし、同時に人と人とのつながりを強めていく双方向性のコミュニケーション手段としては工夫が必要なものであることもわかってきました。

私は昨年末、ついにガラケーからスマホに機種変更しました。目下のところ、文字入力のもどかしさと格闘しながら、日々学習を重ねているところです。今年はこの強力なツールを活用して、情報発信に努めつつ、人と人とのつながりも強めていきたいと考えております。スマホが「いつでもどこでも仕事ができる自由」を私に与えてしまうことを気をつけながら。


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