会長挨拶・コラム COLUMN
平成28年1月:丙申
2016年が始まった。2016年の干支は丙申(ひのえさる)! 丙申は変革の年とされ、時代が動く年。それでなくても申年は変化の多い年である。
過去の申年を振り返ってみても、良いこと、悪いこと様々ではあるが、大きな出来事が多い。前回の丙申、1956年は「もはや戦後ではない」が流行語になり、神武景気にわき、戦後の復興が改めて明確に示された年である。横浜、名古屋、京都、大阪、神戸が政令指定都市になり、映画「太陽の季節」が公開され、石原裕次郎が俳優デビュー、「太陽族」が流行語となった。また、エルヴィス・プレスリーが全米でブレイク。日本は国際連合に復帰した。その後の申年をみても忘れられない出来事が多い。1968年には、3億円事件、日本初の心臓移植、東大紛争、1980年には、富士見産婦人科乱診事件、新宿バス放火事件、長嶋監督辞任・王貞治引退、1992年には、佐川献金疑惑、共和汚職事件、PKO協力法案成立、日本人初の宇宙飛行士誕生、バブル景気崩壊、2004年には、鳥インフルエンザ発生、自衛隊イラク派遣、栃木5億円強奪事件、中越地震、スマトラ島沖地震など、挙げればきりが無いほどである。
2016年もまた、変革のにおいを感じる。中東問題、北朝鮮問題、安保関連法の施行、国政選挙の実施など国内外に大きな課題が山積している。私たち視覚障碍者・理療教育関係をみても時代の変わり目となりそうな出来事が控えている。
昨年、複数のあん摩マッサージ指圧師(以下、あマ指師と略)養成施設から出されていたあマ指師課程新設の設置計画は、9月5日の医道審議会(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会)において「全会一致で望ましくない。」として退けられた。しかしその後、本申請が出されており、今後の動向を注視したい。本連盟は、2013年の第62回総会においてあはき法19条を堅持することを組織決定している。一方で、会員の中からも「19条を堅持するだけでなく、視覚障碍のあるあマ指師の生活の維持が困難とならないような施策を具体的に働きかけていくべきだ。」との声もある。執行部としても議論を重ねてきているところであるが、今後具体的な提案を会員から募集していきたいと考えている。また、あはき師学校養成施設認定規則の改正、あはき師国家試験改善に向けた動きもある。今後の理療教育に大きな影響があるものとみられている。4月には障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)」、改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」が施行される。この法律や指針を真に障碍者の自立を促進し、共生社会の礎とするためには、私たち当事者が具体的に声を上げていかなければならない。
本連盟内部をみても、足かけ5年をかけて検討してきた「組織改革」に一定の結論を出す年となる。総会の持ち方等で一部意見の相違はあるが、それを埋める努力を重ね、将来の理療教育を支えられる組織として結束していけるよう努力したい。盲学校の理療教育が極めて厳しい状況にあることは周知のとおりである。これを打破し、魅力ある理療教育を実現するためには各地域でのビジョンが必要であり、それを推進するためにも支部制導入の仕組みが大切であることを改めて強調したい。
2016年は特別支援教育に移行して10年目である。視覚障碍のある生徒数が減少しLDやADHDなどを含めた他の障碍種別の生徒数が増える中で視覚障碍教育は特別支援教育の中でも埋没しているように見える。本連盟としても視覚障碍教育と理療教育の立場からこの10年を総括し、今後の理療教育の在り方を展望していかなければならない。
干支の申の意味は「伸ばす」で、草木が十分に伸び、果実が十分に成熟する時期とされる。本連盟もこれまで議論してきた内容に具体的な道筋をつけ、次の世代に引き継げる果実を実らせたいものである。輝く未来に向けて変革できるよう、全会員一致して取り組みたいと考えている。
これまで以上の御支援と御協力を切にお願いするものである。